NHK総合で2025年4月24日放送の「あしたが変わるトリセツショー」は、【命を救う!いびきのトリセツ★睡眠時無呼吸大解明SP】!
睡眠時無呼吸症候群は色々なメディアでよく耳にするし、なんとなくは知っているけれど、その恐ろしさをまだ認識できていない人が多いのではないでしょうか。
今日はトリセツショーでの放送内容に加えて、おすすめの本もご紹介していきます。
「あしたが変わるトリセツショー」【命を救う!いびきのトリセツ★睡眠時無呼吸大解明SP】
今日のトリセツショーが取り上げるのは多くの人を悩ませている「イビキ」。その中で見過ごされがちな「閉塞性睡眠時無呼吸」の恐ろしさに迫ります。
仰向けに寝た時のいびきは、舌と口蓋垂が重力によって落ち、空気の通り道が狭くなることで、舌や口蓋垂が震えることにより発生する音です。
そして、舌と口蓋垂がさらに落ちていくと、気道が塞がり、呼吸が止まってしまうのだそうです。
寝ている時に呼吸が止まってしまう、この病気こそ、「閉塞性睡眠時無呼吸症」。
推定患者数は2,200万人、なんと6人に1人以上がこの病に蝕まれているのです。
しかし、この病気の本当の恐ろしさは、音がうるさいという事だけではありません。
高血圧・糖尿病・認知機能低下!いびきに隠された命の危険
日本睡眠学会副理事長の千葉伸太郎医師によると、15年以上この閉塞性睡眠時無呼吸症を患っていると、4割以上が亡くなっているとのこと。
呼吸が止まる事で体内に酸素が供給されなくなります。
正常時96~99%ある血中酸素飽和度が、90%を切ると呼吸不全の状態とされ酸素吸入等の処置が必要となりますが、重症の閉塞性睡眠時無呼吸症の人はその値が50%まで下がることがあるというのです。
寝ている間にエベレストの頂上にいる位の負担が身体にかかるのだそう。
特に怖いのが高血圧。
血中の酸素飽和度が不足すると、なんとか脳に酸素を届けようと血圧が上がってきます。そして、それが高血圧・心筋梗塞・脳卒中・糖尿病・認知機能の低下にまでつながる事も。
また、睡眠時無呼吸症の人が日中の眠気から交通事故を起こす確率は7倍になるとか。
2,200万人の睡眠時無呼吸症の人のうち、治療が必要になるのは900万人と言われていますが、実際に治療を受けているのはわずか80万人だそうです(出典:Benjafield AV,et al.Lancet Respir Med 7:687-698,2019、厚生労働省 令和5年社会医療診察行為別統計)。
15年後に4割が亡くなる可能性があるというのに、9割が無呼吸症を見逃して治療を受けていないのはなぜか・・・それは自覚がないから、なのです。
5秒でわかる睡眠時無呼吸リスク判定ワザ&チェックシート
番組では「あなたもすぐに真似できる!5秒でわかる睡眠時無呼吸リスク判定のワザ」を紹介していました。
その技を医学的には素人の番組ディレクターが伝授され、街頭調査。ディレクターがリスクありと見抜いた6人のうち、6人全員が睡眠時無呼吸症でした。
睡眠時無呼吸症の重症度はAHIという指標で表されますが、6人の内2人は中等症、4人はAHI30以上の重症睡眠時無呼吸症だったのです。
AHI = 無呼吸 + 低呼吸(回数/時間) | 重症度 |
30~ | 重症 |
15~30未満 | 中等症 |
5~15未満 | 軽症 |
5秒でわかる睡眠時無呼吸チェックとは
それは口を大きく開けた時の、正面からの口蓋垂の見え方。ClassⅠ、Ⅱは睡眠時無呼吸症のリスクは低いが、ClassⅢ、Ⅳは高リスクだといいます。
クラス | 口蓋垂の見え方 | リスク |
ClassⅠ | 全部見える | 低い |
ClassⅡ | 先端以外は見える | 低い |
ClassⅢ | 根元が辛うじて見える | 高い |
ClassⅣ | 全く見えない | 高い |
番組ディレクターが見分けた6人は、全員ClassⅣでした。
口を開けて正面から口蓋垂をみると、5秒でリスクをチェックできるということですね。
睡眠時無呼吸症の原因は肥満、だけではない?!
肥満は舌や気道の周辺を太らせ、睡眠時無呼吸症の原因の一つと言われています。しかし、日本では睡眠時無呼吸症の患者の4割は、肥満ではなかったのだそう。実際番組で紹介された人は標準体型にも関わらずAHIは60.6、血中酸素飽和度も82%で重症の睡眠時無呼吸症でした。
では肥満ではない人は一体何が原因で睡眠時無呼吸症になっているのでしょうか?
その原因はあごが小さいこと。
あごが小さいと舌が軌道を塞ぎやすいのです。
定規を使って簡単に出来るEラインチェックで、あごの小ささを判断できます。鼻先から上唇に定規などまっすぐなものをつけて、定規がそのままあごにはつかない場合、あごが小さいと判断されていました。あなたのあごは大丈夫ですか?
閉塞性睡眠時無呼吸症のリスクチェックシート
閉塞性睡眠時無呼吸症を見抜く方法を、日本睡眠学会専門医の佐藤誠先生がスタジオで科学的に紹介してくれました。
リスクチェックシートを作ったのは、日本睡眠学会理事の外木守雄歯科医師。ぜひあなたもチェックしてみてください。
NHKあしたが変わるトリセツショーの公式サイトから、【いびきのトリセツ】 をぜひご覧ください。(【いびき取扱説明書】が新しいタブで開きます)。
簡単版はこちら↓

いびき、無呼吸症候群に殺されない27の方法
今回登場された千葉伸太郎医師、佐藤誠医師、外木守雄歯科医師はそれぞれ睡眠に関する著書を出版されていますが、医学生向けの内容のため、今日は末松義弘医師の著書『いびき、無呼吸症候群に殺されない27の方法 』をご紹介します。
画像をタップすると楽天市場の本紹介ページにジャンプします
自分やご家族のいびきを「たかがいびき」と放置していませんか?本書は、多くの人が軽視しがちないびきと、その背後に潜む深刻な病気である睡眠時無呼吸症候群(SAS)の危険性を啓発し、具体的な対策を提示してくれる一冊です。
著者の末松義弘氏は、心臓血管外科医であり無呼吸症候群専門医の第1人者。呼吸器についてだけでなく、睡眠が心臓血管という循環器にどのように及ぶのか、専門家としての知識と洞察が本書全体に凝縮されています。
27の方法で具体的な対策を提示
本書の最大の特徴は、タイトルにもある「27の方法」として、いびきや無呼吸症候群の改善、そして何よりも「殺されない」ための具体的な対策が提示されている点です。生活習慣の改善から、医療機関への受診、CPAP療法、マウスピースの活用、さらには睡眠環境の整備まで、多岐にわたるアプローチが分かりやすく解説されています。
それぞれの方法には、なぜそれが有効なのかという理由や、実践する上での注意点なども丁寧に説明されており、読者は自身の状況に合わせて、どの対策を取り入れるべきかの判断材料を得ることができます。単に知識を羅列するのではなく、「行動」を促す内容になっているのが素晴らしいと感じました。
専門知識を分かりやすく解説
本書では図やイラストを効果的に使用することで、病気のメカニズムや治療法が非常に分かりやすく解説されています。医学的な知識がない読者でも、スムーズに内容を理解できるでしょう。
また、単に病気の解説に留まらず、患者さんの体験談や、よくある疑問とその回答なども盛り込まれており、読者は共感したり、自身の疑問を解消したりすることができます。著者の温かい眼差しが感じられ、読者に寄り添うような優しい語り口も魅力です。
「殺されない」という強いメッセージ
タイトルにある「殺されない」という強い言葉は、本書のメッセージを端的に表しています。睡眠時無呼吸症候群は、高血圧、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病など、様々な生活習慣病のリスクを高めることが知られています。いびきを放置することの危険性を強く訴えかけ、早期の対策がいかに重要であるかが理解できるはずです。
トリセツショーのチェックシートやアドバイスでご自分やご家族がちょっと怪しいかも、、、と思っても、まだ受診を躊躇っている時は、本書を手に取ってみてはどうでしょう。

睡眠時の呼吸を守って健やかに
このブログでは、以前呼吸についての大切さをお伝えしました。
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呼吸はシニアになっても健やかに過ごすための必須条件のひとつ。
いびき、そしてその陰に潜む睡眠時無呼吸症は、決して放置しておいてはいけないものだという事がよくわかりました。
たかがいびき”、されどいびき”
“いびき”は、無呼吸への第一歩
あなたの“いびき”、は大丈夫ですか?
いびきと睡眠時無呼吸症候群は、認知症、高血圧、糖尿病、ひいては心筋梗塞や脳梗塞、そして寝たきりへとつながる道です。
好き好んでその道を進みたい人はいませんよね?
ご自分が、ご家族が予備軍かも?!と思われたかたは、ぜひ受診をおすすめいたします。

